障がい者雇用に関する情報
障がい者雇用が企業を新たなステージに導く
2024年4月より、障がい者の法定雇用率の段階的な引き上げが進められている中、「より積極的に障がい者雇用に取り組まなければならない」と考えている企業も決して少なくないことでしょう。しかし、法定雇用率を満たすためだけの障がい者雇用で良いのでしょうか?障がい者雇用は、企業の未来を切り拓く力を秘めているのではないでしょうか。その点にフォーカスしながら、企業の障がい者雇用を支援しているのが株式会社セルムのNANAIRO事業チームです。今回は、同チームの皆さまに障がい者雇用と企業の関わり方についてお話をお伺いしました。
今回取材にご対応いただきました皆さま
(向かって左)吉田佳奈 様/(中央)白砂祐幸 様/(向かって右)坂本千佳 様
企業の経営課題解決のために事業チームを立ち上げる
(株)セルムは主に企業の経営課題に対して「人と組織」の側面からアプローチし、解決に導くサービスを提供しています。近年では障がい者雇用が多くの企業の経営課題として挙げられており、当社のミッションとしてこちらの解決にも取り組まなければならないという考えから、企業の障がい者雇用支援に取り組むNANAIRO事業チームを2015年に立ち上げました。
私(※編集部注:白砂様)は、前職にて障がい者雇用に関わっており、現場構築の知見があったため、このスタートアップに参画しました。当時、障がい者本人の“就労を支援する”サービスはあったのですが、障がい者を“雇用する企業”に対する支援サービスはあまりなかったため、社会的なニーズを強く感じていました。

<(株)セルムNANAIRO事業のソリューションマップ>
障がい者雇用に夢を膨らませて欲しい
障がい者雇用については、トップダウンにて「企業の社会的責任」を強調される企業が多いのですが、この形だけでは長続きしていない印象があります。障がい者雇用を担うのは現場の社員だからです。トップの思いだけでは現場は動けません。必要なことは、「障がい者雇用で何を目指すのか」をしっかりと組織全体で共有することです。
障がい者雇用の目的として、特に私たちが強調したい側面としては、「新たな企業価値の創造」です。障がいのある方が組織に入ってくることで、従来の考えや慣習を変えなければならないこともあるでしょう。それらは決して負荷となるだけではありません。組織における新たな価値観は従来の組織をより良くする気づきのきっかけにもなるでしょう。顧客に対する新たなサービスにもつながるかもしれません。障がいのある方が入ってきたら、「ああしてみたい」「こうしてみたい」と夢を膨らませること。それが私たちのやりたいことであり、大切にしていることです。
スキルマッチングに終始してはいけない
障がい者人材の紹介を行う会社には、「〇〇のスキルがある人材がいます。雇用しますか?しませんか?」と企業に条件面のみを提示し、取捨選択を迫る事業者が多いように感じます。企業のビジョンや雇いたい人材の人となりなどには触れず、スキルマッチングのみに終始してしまう。それではうまくいかないと思います。障がい者人材の性格や物の考え方、さらには将来の夢なども、私たちのような支援者が把握してしっかりと企業側に伝えることで、企業のブランドや将来像とマッチする人材と巡り合うことができるのだと思います。
「適切な情報交換」を支援したい
障がい者雇用の課題を挙げるとすれば、「適切な情報交換」がなされていないことが多いということです。例えば、雇用する側の企業が自社の風土文化についてしっかりと説明できていなかったり、雇われる障がい者側が、自分自身が苦手に思っていることを明確に伝えられていなかったり。このような齟齬があると、うまくいかないケースが多いと感じます。だからこそ、私たちのような間に入る存在が、双方としっかりとコミュニケーションをとり、誤解なく、正しい情報のやりとりをサポートしていかなければならないのだと思います。
障がい者雇用を企業革新の契機に
従来の日本企業の強みは「同一的な人間が集まって、均一の品質を維持する」ということにあったと思います。ただし、この変化の激しい時代にあっては、時流に合わせて変化をしていくイノベーション力こそが求められてくるのではないでしょうか。新しい発想を取り入れ、商品やサービスに様々な価値観を反映させていくのです。障がい者雇用はそのきっかけになりうるのではないかと思います。私たちは、より多くの障がいのある方にイキイキと社会で活躍していただくと共に、企業の障がい者人材に対するご要望を叶え、さらには企業の進化発展まで支援できるよう、これからも奮闘してまいります。