障がい者雇用に関する情報
モニターがつなぐ仲間と一緒のイキイキした日々
今回、取材にご対応いただいたのは

株式会社スタッフサービス・クラウドワーク
エリア統括部 ゼネラルマネージャー
酒本速男様
グループの経営理念「チャンスを。」のもとに多様な人材活用を推進
私たちスタッフサービスグループは幅広い業種で人材派遣をはじめとした人材総合サービス会社であり、「チャンスを。」というグループの経営理念のもと、多様な人材活用を推進しています。その中でスタッフサービスグループの障がい者雇用は、特例子会社のスタッフサービス・ビジネスサポートとスタッフサービス・クラウドワークの2社で推進しており、当社は雇用機会が不足している地方在住の通勤が困難な重度身体障がい者の雇用を「完全在宅」で推進しています。
当社では重い障がいがあっても、場所や時間にとらわれないで、多くの方たちが安心して働くことができる体制を整えており、その業務内容としては、スタッフサービスグループの事務処理やそれに付随する支援が主なものになっています。日本各地に広がるスタッフサービスグループの大規模なネットワークが私たちの活躍の場なのです。
障がい者雇用において大切にしていること
当社の取り組みは2015年に遡ります。グループの特例子会社は通勤型雇用のみであった当時、能力があっても通勤がネックとなり採用できないということがありました。地方ではバリアフリー化が遅れていたり求人が少ないなど、働きたくても働けない人が多い状況において、重度の身体障がいのために就業を諦めている多くの方に就業機会を提供したいと考え、現在の完全テレワークの取り組みをスタートさせました。初めて会社に就労される方、久しぶりに社会復帰される方など入社される社員の背景や年代はさまざまです。ただ、企業である以上、社員には企業人として成長していってもらわなければなりません。一人ひとりにやりがいを感じてもらいつつ、戦力として活躍し、長く定着していくことも期待しています。そのために大切にしていることに次の内容があります。
① 柔軟なシフト制
私たちの仲間は全員が重度の身体障がいがある方々のため、生活をしていく上で日中の生活介助や通院時間の確保が必要なケースがあります。そのため勤務時間は柔軟なシフト制を導入し、9時から19時の間で週5日、週30時間就業できるよう自分の生活スタイルに合った就業時間を自分で設計できるようにしています。重度身体障がい者の生活スタイルに寄り添うことにより就業前の生活サイクルを崩さないで安定的に働くことができます。
<個人の生活に合わせた勤務時間について>
② コミュニケーションスキルの向上
テレワークは、オフィスで業務を行う場合に比べてコミュニケーションを取る時間は減少します。そのためコミュニケーションを円滑に行えるよう入社から2ヶ月間はWEBコミュニケーションに慣れるための研修を実施し、業務を遂行する上での基本となる対話スキルを身につけてもらっています。加えて各エリアの先輩社員から業務研修を行いながらコミュニケーションを取る訓練を行い、3ヶ月目になって十分コミュニケーションが取れる状態になった上で、本配属をしています。
<入社時の研修について>
③ 「つながる」を実感
テレワークならではの課題である「共に働く仲間とのコミュニケーションの取りにくさ」に起因する孤独感も解決すべき点です。必要なことはテレワークであっても、人とつながりながら働けること。あたかも隣に同僚がいるかのような職場づくりです。当社ではWEB上に仮想の職場を構築し、そこで仲間とコミュニケーションをとりながら働いてもらっており、仲間同士のことを知り合える環境づくりも大切にしています。新入社員は入社後の研修を経て、5名~15名のチームに配属します。そのチーム単位で1日3回、1回20分のWEBミーティングを実施し、あえてそのうち約半分の時間は雑談をするようにしています。また、年に一回、エリアごとにリアルに集まり仲間を実感できるイベント「エリアミーティング」を開催しています。顔を合わせた瞬間から会話が弾み、エネルギッシュな空間になります。
<「エリアミーティング」の風景>

上記の取組みの成果もあり、当社では入社1年目時点の定着率が97.5%(2024年6月時点)となっています。
<スタッフサービス・クラウドワークの就労者数推移>
幅広い業務でグループ全体を支える
業務内容としては、例えば社内システムや決まったフォームへの入力、データの登録業務です。次にメンテナンスや大量に保管されているデータベースの修正・更新業務があります。また、インターネット検索を活用しての求人情報調査など、営業支援の業務もあります。
これらのバックヤード業務をグループより請け負っており、さらに外部の特例子会社と業務提携して受託している業務もあります。
<スタッフサービス・クラウドワークの主な業務内容>
いつでも自宅にサポート訪問できる体制を
地方にある6つの拠点には当社のスタッフが駐在しており、在宅メンバーのパソコントラブルやその他の緊急時には自宅へ訪問できる体制を整えています。ただし、場所によってはどうしてもすぐに駆けつけられない場合もあります。その対応のため、各拠点は地元の支援機関と連携し、サポートを受ける体制も構築しています。
「オンラインお仕事体験会」の開催
PCモニターはただのモニターではなく、仲間と社会とつながるコミュニケーションの窓口です。重い身体障がいがあっても、テレワークであれば働けます。私たちは、このことを多くの当事者や支援機関の方に知っていただきたいと考えており、そのために「オンラインお仕事体験会」を開催しています。これまで全国で約160回開催しており、参加人数は800名以上です。この会では当社の業務の一部を実際に疑似テレワークで体験してもらうことで、就労の選択肢の一つとしてもらうという目的があり、全国のハローワークや各種支援機関、リハビリ施設、特別支援学校、その他多くの場所で開催しています。
<お仕事体験会の様子>
「テレワークの持つ可能性」をより多くの方に届けたい
冒頭にお話しましたが、当社の経営理念は「チャンスを。」です。私たちは障がいによる通勤困難を理由に就労を諦めている方に向けて、一人でも多くの方々にテレワークによる就労というチャンスを届けたいと考えています。重度障がい者の方々に対するテレワークの浸透はまだまだ十分とは言えません。就労を諦めないでほしい。働きたいという気持ちに蓋をしないでほしい。私たちはこれからもテレワークの可能性を追求して、就労の質を高めながら障がい者雇用を推進し、一人でも多くの方の「働きたい」という気持ちを「働けるんだ」に変えていきたいと思います。