障がい者雇用に関する情報
「会社貢献」と「イキイキ働く」を持続可能に

取材協力
ビーウィズ株式会社
本社
〒163-1032
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワーN棟32F
HP
https://www.bewith.net/
設立
2000年5月
事業内容一例
自社開発のクラウド型PBX「Omnia LINK(オムニアリンク)」等のデジタル技術を活用したコンタクトセンター・BPOサービスの提供、および各種AI・DXソリューションの開発・販売
拠点数
全国18拠点
従業員数
8,766名(2024年11月30日現在)※正社員・契約社員・アルバイト社員を含む。
今回、取材にご対応いただいたのは

シェアードサービス室 室長 檜垣一美様
持続可能な障がい者雇用のために
当社はこれまで「持続可能な障がい者雇用」をテーマに取り組んできました。特例子会社ではなく一般企業において、企業が厳しい状況にあっても障がい者雇用が切り捨てられず、継続できる仕組みを模索し続けています。障がい者雇用には若手や新しい人材が入りにくいという課題があり、それでも継続していくにはどうしたらよいか、試行錯誤を重ねてきました。
現在、当社では全社で150名超(延べ200名近く)の障がい者を雇用しており、その半数はコンタクトセンターでオペレーターとして勤務、もう半数は「シェアードサービスグループ」で事務系業務に従事しています。このグループは、本業から切り出した業務を担うことで障がい者雇用を推進する目的で設立された部門です。例えば農業など、本業と無関係な作業ではなく、あくまで社内業務に携わってもらう形で、持続可能な障がい者雇用を実現しています。
全社に認知された「障がい者の力」
当社の障がい者雇用では、2014年までは総務部が障がい者雇用を社会貢献の一環として担当していましたが、法定雇用率の上昇を受けて「業務支援部」を設立。障がい者の雇用を専門的に行う体制へとシフトしました。初期段階では業務の切り出しが進まず、模擬業務で対応していましたが、障がい者が実際に働く様子を他部署が目にしたことで意識が変化し、各部門からの業務提供が徐々に増加。
その後、人事部の業務支援ユニットを設け、情報管理や書類処理などの実務を請け負うことで、より多くの障がい者雇用を実現。最終的にシェアードサービスグループとして独立し、現在は70名超の障がい者が所属しています。全社での障がい者雇用は150名を超えていますから、そのうち半数以上が勤務しているということになります。今後はこの手法を全国拠点にも展開し、業務の集約・センター化を検討しています。
妥協のない業務品質
シェアードサービスグループメンバーの多くが精神障がいを抱えていることもあり、どのように業務を進めていくかが非常に重要なポイントになります。現在は、10名前後のチームを6つ編成し、それぞれのチームで日々の業務に取り組んでいます。チーム制を採用することで、例えば一人が休んでも、他のメンバーがすぐにフォローできる体制となっており、納期の遅延や品質の低下を防ぐことが可能です。私たちは、「障がい者雇用だから納期に遅れても仕方ない」「品質が劣ってもしょうがない」といった考え方は一切していません。「やるべきことは、きちんとやる」。これを基本姿勢としています。シェアードサービスグループは、いわゆる下請けではありません。社内の一部門として責任ある業務遂行を行っており、「会社に貢献できている」という実感をもてることが大切だと考えています。
障がいのある当事者の自律的な組織運営
シェアードサービスグループは、全メンバーおよびチームリーダーも含めて障がい者のみで構成されており、健常者を交えずに自律的な運営を行っている点が大きな特徴です。障がい者同士が互いに配慮し合い、支え合う関係性を築きながら、できないことにも積極的に挑戦する姿勢を大切にしています。また、業務マニュアルの作成や職場環境の整備も自ら行うことで、自分たちで働きやすい環境を作り出しています。さらに、採用面接や行政への報告書作成、助成金申請など、障がい者雇用に関する業務全般も障がい者が中心となって担っており、当事者主体の持続可能な組織運営を実現しています。
6つのチームのうち、「障がい者雇用チーム」は新人の採用から入社手続き、定着支援までを担当し、障がい者本人や就労支援機関と連携しながら安心して働き続けられる環境づくりを行っています。他の5チームは業務内容や障がい者の特性に合わせて編成されており、入社後のチーム体験を経て配属先を決定。疑問や不安があれば「障がい者雇用チーム」がフォローし、障がい者の受け入れや成長を支えています。
「寄り添い」が長期定着の秘訣
メンバーの定着と長期雇用を実現するために、体調に合わせた多様な勤務シフトを設け、体調不良時の休憩もルール化しています。管理者は2名で、実際の勤務調整や急な休み対応は各チームリーダーが担い、リーダーの負担を軽減するためにジョブリーダーも配置しています。支援機関との連携を重視し、面談や問題対応をチームリーダーが直接行うことで、きめ細やかなサポート体制を構築。チームリーダー自身も障がい者であるため、メンバーの気持ちに寄り添いながら負担を分散しつつ業務を任せる仕組みが、効率的な障がい者雇用の鍵となっています。こうした組織体制の工夫が、障がい者雇用の課題を克服し、定着率向上につながっていると考えています。
なお、新たに入社したメンバーについては、約1ヶ月かけて6つのチームを順番に体験してもらいます。このプロセスを経て、「自分はこのチームでなら安心して働ける」と感じてから配属されるため、結果としてアンマッチによる離職はほとんどありません。体調不良や入院などやむを得ない事情を除けば、ほぼすべてのメンバーが定着して働き続けています。