障がい者雇用に関する情報
取材協力
ビーウィズ・ドゥ株式会社
本社
〒163-1032 東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー32F
設立日
2026年9月1日
資本金
3,000万円
株主構成
ビーウィズ株式会社 100%
代表者
代表取締役社長 檜垣 一美
事業内容
グループ内事務代行・受託業務、障がい者雇用支援・コンサルティング、講演事業等
従業員数
75名(営業開始後、段階的に増員を予定)
決算期
3月期
ご参考:ビーウィズ株式会社ニュースリリース
https://www.bewith.net/news_column/topics/20260901.html
今回、取材にご対応いただいたのは

常勤取締役 奥山寛史様 / 代表取締役社長 檜垣 一美様
はじめに
障がい者雇用支援センターでは、2025年、ビーウィズ株式会社の障がい者雇用について檜垣氏を取材し、「『会社貢献』と『イキイキ働く』を持続可能な障がい者雇用に」と題して、その取り組みを紹介しました。
紹介記事:ビーウィズ株式会社
ビーウィズは、新宿本社の事務・事務補助・軽作業を集約して障がいのある従業員が請け負う“シェアードサービスグループ”を構築。障がいのある従業員自らが業務手順書やマニュアルを作成し、障がい者雇用の当事者として安定した業務遂行に取り組んできました。
そのビーウィズが2026年9月1日、100%出資子会社として「ビーウィズ・ドゥ株式会社」を設立。特例子会社の認定を目指し、2027年1月から本格的な営業開始を計画しています。
今回、同社代表取締役社長に就任された檜垣一美氏、常勤取締役である奥山寛史氏に、新会社設立の背景と、これからの障がい者雇用について伺いました。
シェアードサービスグループで培った障がい者雇用の仕組みを、全国の拠点に
現在、新宿本社のシェアードサービスグループでは、障がいのある従業員約80人が、障がい特性に応じた6つのチームに所属し、同じく障がいのあるチームリーダーを中心に業務に取り組んでいます。
ただ、安定した障がい者雇用が実現できている一方、「新宿で雇用人数を増やす」ことには限界が見えてきました。
そこで目を向けたのが、コンタクトセンターやBPOサービスを運営している全国の拠点です。
各拠点には、職場を支える総務庶務業務の担当者がいます。2025年9月から障がい者雇用の取り組みに加わった奥山氏が、こうした総務庶務業務の中から、障がいのある従業員が担える業務を切り出せないか検討を進めています。
「一つの拠点で10人程度のチームから始めるのか、各拠点に数人ずつ配置するのか」「新宿本社から、拠点に障がい者雇用を広げていきたい」
まずは横浜拠点で小さなシェアードサービスグループをつくるところから検討していますが、ビーウィズ・ドゥ設立の背景には、新宿で積み重ねてきた障がい者雇用の仕組みを、本社だけにとどめるのではなく、全国に広げていきたいという思いがあります。
「長く働く」の、その先にあるもの
もう一つ、新会社設立を考えるきっかけとなったのが、長く働き続けてくれている障がいのある従業員たちの存在でした。
シェアードサービスグループには、5年、10年、さらには20年以上勤務しているメンバーもいます。
「安定して働いてくれている、それはとてもありがたいことです。ただ、長く働いてくれているメンバーたちに、もっとやりがいや自分自身の成長を感じてもらうにはどうしたらいいのか」
そこから、新しい人事制度の必要性を考えるようになりました。
ビーウィズの人事制度は、障がいの有無によって扱いを変えないことを基本としていますので、正社員への登用についても障がいの有無に関係なく、同じ筆記試験や役員面接を受けることになっています。
登用試験に合格して正社員になったシェアードサービスグループのメンバーもいます。そのなかには障がい特性上苦労して筆記試験に合格しても、役員面接で言葉が出ず不合格となること2回、3回目で登用となったメンバーもいますが、ほとんどのメンバーにとって正社員となることは難しいといいます。
「長く働いてもらいたい」というだけではなく、長く働いているメンバーたちが、働くことを通じて成長し、戦力として活躍できる環境をどうつくるか。
檜垣氏は、新会社で新たな人事制度をつくることに大きな可能性を感じています。
ビーウィズ・ドゥでは、障がいのある従業員の働きやすさや成長段階を踏まえた新たな人事制度を構築し、モチベーション高く働き続けられる環境づくりを目指しています。
「雇用を続けること」から、「一人ひとりが活躍し、さらにAIとの共創が広げる障がい者雇用の可能性探索」へ。
これもビーウィズ・ドゥが目指す大きなテーマです。
AIは「仕事を奪うもの」なのか。
これからの障がい者雇用を考える上で避けて通れないのが、AIやRPAの進化です。
定型的な業務がAIやRPAによって自動化されれば、これまで障がいのある従業員が担ってきた業務そのものが減ってしまうことが考えられます。
取材の中で、この点について率直に伺うと、「ビーウィズでは、AIが人の仕事を奪うものとは捉えていません」と奥山氏はいいます。
「AIに任せる部分と、障がいのある従業員が担う部分を組み合わせる。そうすることで、一人の従業員が二人分、三人分の業務をできるようになる可能性はもちろん、これまでにやったことのない新たな業務を生み出す可能性もあると考えています」
シェアードサービスグループには、視覚障がいのあるメンバーが音声読み上げソフトを活用して、自動化された作業の最終確認を1日に100件以上行う業務もあります。
「自動化したから人がいらなくなる」ではなく、「自動化したからこそ、人が担うべき確認業務や判断業務が生まれる」
こうした発想で、障がいのある従業員とAIの共創を考えていこうとしています。
「障がいのある自分たちが自分たちの業務をつくる」という経験
実は、こうした考え方はAIが発展する以前から、同社の障がい者雇用の現場に根付いていました。
取材では、請求書処理業務の具体的な業務手順も伺いました。
通信費の請求書には、1枚に何百件という電話番号ごとの利用料金や特約料金がまとめられているものが多くあります。これらを効率的に処理するため、請求書を処理するチームのメンバーはExcelのマクロと関数を組み合わせたワークシートをつくりました。
ただし、「自動化すれば終わり」ではありません。
マクロがブラックボックス化して誤りが見逃される可能性もあるため、チェックリストを準備。数字がおかしければ、投入したデータまでさかのぼって確認できるよう業務手順を整備しています。
「この業務はこうしたらもっとやりやすくなるのではないか?」
シェアードサービスグループのメンバーが自らそう考えてツールをつくるだけでなく、そういったことが得意ではないメンバーでもツールを使えるよう勉強会を行い、業務を改善していく。
この「自分たちで自分たちの業務をやりやすくしていく」という経験が、AI時代にもつながっていくのかもしれません。
「よりよい障がい者雇用」のために積み重ねてきたことを、社会へ
ビーウィズでは、10年以上、障がい者雇用に悩む企業などに現場を公開してきました。これまでに1,000社を超える企業が見学に訪れています。
ビーウィズ・ドゥでは、障がい者雇用に悩む企業へのコンサルティングや講演、障がい者が働きやすい職場環境づくりやチーム立ち上げの支援などにも取り組んでいく予定です。
檜垣氏が目指しているのは、単に「法定雇用率を達成するためだけの障がい者雇用」ではありません。
「障がい者雇用は、受け入れている部門が疲弊し負担が大きいと考えている企業が多いが、そんなことはない。その負担は限りなく減らしていくことができるし、企業にとっても一緒に働く従業員にとっても“よりよい障がい者雇用”を目指すことには大きな意味があるのです」
この「よりよい障がい者雇用」をビーウィズ・ドゥで実現し、社外の障がい者雇用に悩む企業にも伝えていく。
ビーウィズ・ドゥの設立は、これまでの障がい者雇用をリセットするものではなく、シェアードサービスグループで長年積み重ねてきた「周囲の支援に依存しない持続可能な障がい者雇用」をさらに「よりよい障がい者雇用」へ、そして新宿本社から全国の拠点へ、社会へと広げていくための新たな一歩と言えるでしょう。